もう体育祭の時期か…なんだかあっという間に来てしまったな。
今年も良い祭典にしよう。きっちり勝利で飾ってね。
ゆきむら せいいち
幸村 精市
クラス:3-C | 身長:175cm | 誕生日:3月5日 | 血液型:A型
部活動:テニス部 | 委員会:美化委員会 | 赤組 | ペア:黒江舞弥
責任感の強い生真面目な性格が、テニスという土俵ではどちらかというと災いをしている。立海という全体の勝利を絶対の掟とし、自身が勝ち続けることさえ責任として背負う、あくまで勝利にこだわり抜くさまは、同じコートに立たぬものから見れば異様にも映るだろう。異様なまでの勝利――そしてテニスへの執着と、圧倒的な才能と共に磨いてきたテニスセンスで王者立海の部長として君臨する幸村は――“神の子”、そう呼ばれた。しかしコートから一歩外へ出てしまえば非常に穏やかな性格で、年相応に無邪気であるし、茶目っ気も強いほうだ。おおらかであるが故、人の機敏にはやや疎いという欠点もあり、人の子らしいと認めることが出来る。
#68a4d9/ヘブンリーブルー

1::「こんにちは〜!新聞部です!次の特集『実録!〜立海生のホンネ〜』インタビューにご協力頂けませんか?」

(霜月の風が吹いていた。冷えた風は、やや寂し気な色合いの冬花壇の花を撫ぜ、藍がかった黒髪に覆われた白皙の頬に触れ、青緑色のブレザーやシャツの下にまでもぐりこみ、はだかの手から体温を奪っていく。そうして冷えていたから、如雨露を握る幸村精市の指先はやや赤らんでいた。それでもいい天気で、風のふかない屋内であれば、差し込む陽の暖かさに頬を緩めるほどの日だろう。その証拠に、太陽に照り付けられた幸村の黒髪は、白いレースをうちかけたようにきらきらときらめいていた。そうした砌にかけられた声。振り返った幸村は、一瞬目を丸めた後、)ああ、そんな試みもしていたね。いいよ、体育祭前のインタビューははじめてだから、どきどきしてしまうな。俺が答えられることならなんでも答えよう。(承諾の言葉と共に目をほそめて笑った。「でも少し冷えるから、校舎の中でこたえていいならね。」そんな言葉を添えて。)

2::「まずは自己紹介として、お名前にクラス、部活や委員会などお教えください!」

(中庭の自販機でコーヒーを買い、校舎の中へとやってくる。缶コーヒーでてのひらをあたためながら、)3年C組、幸村精市。美化委員をやってる。うん、さっきの花壇の世話とか、清掃とか、その勧奨活動も俺たちの仕事かな。マンモス校でひとの出入りが多いにしては、玄関口とかいつもきれいにしてるだろう?はじめは人が足りないからって頼まれて入った委員会だったけれど、今では結構たのしいよ。花の世話も好きになってね……。(滔々とそう答えていく。インタビューは慣れている様子で、答弁によどみはなかった。)

3::「ふむふむ、それでは趣味や今はまってることってありますか?」

さっきの話じゃないけれど、花の世話かな。ガーデニングにすっかりはまってしまったんだ。今の時期はチューリップなんかが見事だよ。……きみは花壇を見たことはある?文字ばかり見てる印象だけど。(新聞部の青年に対して率直な印象を伝えながらくすくす笑った。そうして、ほんの一瞬唇をとがらせたのち、メモを取る青年からそっとペンを奪い取ってしまう。瞠目して顔を上げる青年と、幸村のほうから目を合わせた。)おいでよ。見た方が早いから。(そういって窓辺へを誘導した。窓越しに鮮やかな冬の色どりを眺めながら、「あれはね」と話す姿は、なるほどこれが趣味であるのだと納得させるだけの姿であるに違いない。)

4::「ずばり!彼女っていますか?いないなら好みのタイプとか教えてください!」

……ううん。(3問目にして、はじめて歯切れが悪くなる。柔和なひとみが僅かに泳ぎ、また青年へと戻った。)残念ながら。どうしても部活を優先させてしまうから、俺とそういう関係になったことを不幸に感じさせてしまうかもしれないしね。どちらも満足させられるほど器用でもないんだ。(苦笑する。「ああ、べつにモテるわけでもないんだけれど。」とひとことを添えてから、)好みのタイプ……。(また悩み始めた。腕を組み、小首を傾げて。)……健康な女性かな?(と、まるでいま咄嗟に作ったような、中身のない回答をした。また微笑みが苦くなる。申し訳なさそうな表情をつくった。)参考にならないかな。あはは。ごめんね。

5::「最後に!もうすぐ体育祭の準備が始まりますね。体育祭への意気込みをどうぞ!」

俺たちは運動部だ。だから体育祭では、運動部としてそれなりの働きが全体からも求められている。そうじゃないかな?だから俺をインタビューの対象にしたんだと思っていたんだけど。(歯切れの悪さから一転して、力の抜けた態度から、これが本題だといわんばかりに表情が硬くなる。常日頃コートで見せている顔だった。)なら勝とうと思っているよ。当然、テニス部の部員は全力で取り掛かるつもりだろうし、そうさせるつもりでもいるよ。活躍には期待していてほしいかな。優勝インタビューでうちの部員たちが取り上げられるくらいのね。(自分たちの勝利を疑わない、そうであるのが当然と言わんばかりの言葉だった。そう答えたのちは、いくらか力も抜けて、次は?と青年を促しもする。)

6::「ご協力ありがとうございました!次号の新聞配布、楽しみにしててくださいね!」

終わり?力になれたらいいんだけれど。それは楽しみにさせていただくよ。(丁寧に頭を下げる青年に、吊られるようにして頭を下げた。視線を外し、視界にまた花の彩がうつれば、穏やかに頬を緩ませる姿がそこにあるだろう。)