俺に本気になれとは無理難題じゃの。 その気にさせてみんしゃい。ほれ、お手並み拝見じゃ。 | |
におう まさはる | |
仁王 雅治 | |
クラス:3-B | 身長:175cm | 誕生日:12月4日 | 血液型:AB型 部活動:テニス部 | 委員会:なし | 白組 | ペア:津路葵衣 | |
時として恣意に揺蕩い、時として欺瞞を装い、掴み処の無さが此の男のアイデンティティとも言えよう。飄々と嘯く様は通常運転。希求するには遠く及ばず、恬淡とした人間関係を構築する仁王も、希薄と評するは否。真実と嘘を幾重にも織り交ぜた言葉を掻い潜った先、懐に入れた人間には解し難いながらも、それなりの情を覗かせる事だろう。興味を向ける先もその熱量も、匙加減は心赴く儘。言動は常に軽薄さを纏い、一寸前に吐いた言葉でさえ、前言撤回宜しく「さて、そんなこと言ったかのう?」と息をする様に戯言を吐き、掌を返す。人間関係に恵まれている事を承知の上での数多の無茶振り発言は、実直とは程遠い性根を露呈している筈だ。 | |
#c8c2be/潤色 |
(喧噪に彩られた昼休みの合間に流れる校内放送を聞き「また面倒な行事が始まったな」と人知れず息を吐いたのは記憶に新しい。体育祭そのものをばっくれようものなら、同輩より煩わしい説教の1つや2つが飛んでくるであろう未来が容易に浮かび、今年も程々に、それなりに、情熱なぞ注ぐ事もなく平和に体育祭を終える青写真を抱く。そのささやかな願いすら打ち砕くが如く現れたるは新聞部の生徒。仁王のいう処の“平和”は既に瓦解への一途を辿り始めたのだろうか。矢継ぎ早に飛んでくる快活な言葉には、「随分とご苦労な事じゃな」との意を抱く半面で、見知った顔でもなし、それに答えてやる義理は持ち合わせていない。)…悪いな、俺は忙しい身の上なんじゃ。他をあたってくれんかの。(純度100%の嘘を事も無げに吐き捨て、緩やかに掌を揺らした。簡潔な拒否を発した後に踵を返そうとするも、新聞部の輩より倏忽として発せらるる「まずは自己紹介として〜…」の台詞に意表を突かれたのは言うまでもない。)
いやいやいや、お前さん俺の話聞いとったんか?「まずは」じゃなか。誰も答えるとは言うとらん。(思わず真顔で正論を突きつけるも、ニコニコと眼前に突きつけられる握り拳…否、エアマイクには降参の意を示すしかなく分り易く肩を竦めた。)お前さん、諦める気は……なさそうじゃの。はー……仕方ないのう。情報はそれなりに高くつくぜよ。覚悟しときんしゃい。(対峙する相手の顔貌を見れば己が答えを得るまでは譲らないとでも言わんばかり。断る方が骨が折れると察したか、突撃インタビューなるものに返答する旨を発した。続く対価の真偽は相手の判断に委ねることとして、唐突に切り出された先ほどの質問を脳裏にて反芻したのならば)3年B組、仁王雅治じゃ。部活はテニス部、委員会は入っとらん。(あくまで簡潔に簡素に応える様はなげやりにも等しいだろうか。これで終わりという訳でもあるまい、と視線で次の質問を促した。)
(それは『実録!〜立海生のホンネ〜』に関係する事なのかと、真意を問い質したい思いに駆られるも、疑問を転がしたとて時間の無駄である事は容易に知れる。インタビューに際して「真実を答えろ」とのルールもなければ、その義務も課せられてはいない。問に誠意を以て応えるか否かは、あくまでモラルの問題だ。生憎と詐欺師と語らうこの男は、その概念も低ければ、実直でもなかった。紛擾に至らなければ然したる問題ではあるまい、と。)お前さん他の奴にも同じように質問しとるんじゃろ?義務的なインタビューもそろそろ飽いてくる頃ぜよ。(違うか?と疑問符を投擲し、薄い唇に弧を描く様は仁王雅治を良く知る者なら、良からぬ企みを抱いていることは察するに易い。しかしながら、対面する生徒は初対面。其の企みを見抜く敏さを持ち合わせているのか、その興味も僅かに抱きながら。)普通に答えてもつまらん。(簡素に発したなら「@テニス、A勉強、B詐欺」と人差し指、中指と順に立てながら、明らかな嘘と僅かな真実を孕んだ嘘を事も無げに並べた。)さて、お前さんは何じゃと思う?(プリッ。戯れを紡ぐ声色は何とも意気揚々としている事だろう。眼前の生徒が選択肢から答えを選んだとて「さてな。答え合わせはまた今度じゃ」とだけ言い捨てるのだ。3つの選択肢の中に答えがあると言っていなければ、正解「Cダーツ」などと親切丁寧に伝えてやる筈もない。「"どれ"だと思う?」と選択肢から選ぶ問ではなく「"何"だと思う?」と自由回答も可能に問うたではないか。そんな屁理屈は喉の奥へと仕舞い込む事として。此方とて善意でインタビューに応じているのだ、1つ2つ欺く楽しみを喫した処で許される筈だ。)
それ、お前さんの興味か?趣味か?やれやれ、昨今の中学生の脳ミソは恋愛事しか詰まっとらんのか?(唐突に繰り出された質問には淡々とした声色で率直なる感想を舌先で転がした。食指を顎に宛てては先ほどの戯れの続きとでも言わんばかりに)彼女は居らんのう。じゃが、ベタ惚れのヤツなら居るぜよ。(何とも等閑視に繰り出した其れは、少々察しの悪い人間であろうとも虚実を孕んでいる事は看破できる筈だ。けれどもその虚偽を問い質されるどころか食いつく様に「どんな人!?かわいい!?」と飛んでくる問いには、口角を上げて嘘を塗り固めていくとしよう)おお、可愛いのう。何とも気まぐれな奴でな、コッチが出向いてもそっぽ向いて寄って来すらせん時もあるな。そういう、連れんところもええ。あとは…そうじゃな、これは秘密なんじゃが、可愛い声で鳴いてくれるところもたまらんぜよ。(…校内に居る猫じゃけどな。音を成さずして呟く其の表情には怪しさを孕んだ笑みを象った。新聞部の生徒がどの様に受け取ったとして、虚偽は申してはいないのだから痛む良心なぞ微塵もなかった。)折角じゃ、大サービスで好みのタイプもヒントだけ教えてやろう。ヒント@、仮にお前さんを恋愛対象の女としてみるなら…(値踏みするかの様な視線を上から下へと這わせた後にたっぷり10秒)…却下じゃ。(喉元を揺らして笑う様は戯れも色濃く、からかっているのは察するに易い。不平不満の色を読み取ったなら「ヒントA、俺の掌の上で転がされとる内は、残念ながら正解は教えてやれんの」と。この言葉をどうにかこうにか曲解すれば"かけ引き上手な人"との大正解を導き出されるかもしれないが、その解へと辿り付く事は無理難題であることには違いない。)
最後もクソもこれが一番優先して聞くべき内容なんじゃないか。俺は熱意に溢れる男じゃからのう、体育祭への意気込み?そんなもん、優勝に決まっとる。(発する言葉とは裏腹にその声色は何とも淡々としていたもの。「本気度が全く伝わらない」との正論を突きつけられれば口端を上げて)本気になれとは無理難題じゃの。それともお前さんが俺を本気にさせてくれるんか?お手並み拝見じゃ(軽い調子で吐き捨てればポケットに手を収めて、一仕事終えたとばかりに)最後の質問にも答えた処で、俺は行くぜよ(遊び心の擽られない質問には何とも興味の薄い返答で以て終止符とした)
おー、お前さんもご苦労じゃったな。新聞配布な…覚えとったら楽しみにしとくぜよ。お前さんが優秀な新聞部の部員なら、俺のインタビュー内容の何が真実なのか見抜くのも容易じゃろうしな?せいぜい頑張るナリ。(詐欺師・仁王雅治のなけなしの優しさ――否、真実を告げる事での単純な挑発だ。第三者に悪質だと罵られようとも仁王にとってはあくまで冗談の範疇。仮に謗られようとて己の知った処ではない。さて、次号の新聞の内容は一体どのように仕上がってくるのだろうか。憂鬱な体育祭の前に1つだけ楽しみが増えた仁王の足取りは何とも軽快であったに違いない)